Column

社長の一石

2019. 6月

電力コスト

再生可能エネルギーのコストが下がったので、世界のファンド投資が増えている様です。

 

新聞には、ガスや石油の化石燃料コストが6円/キロワットに対し、太陽光や風力発電が(最新の設備だと思いますが)なんと5円/キロワットまで下がってきたと言うのです。儲けに敏感な海外の投資集団が動くのは当然と言えば当然ですが、ついにそこまできたのか、と驚きました。

 

確か、国の優遇策をスタートさせた時が40円/キロワットでの買取りでした。当時のコストを仮に35円/キロワット前後と推測して、この10年程でほぼ1/7にまで下がった事になります。

 

国内には、まだ10年以上の買い取り期間が残っている設備が多いですから、このままだと日本の再生エネルギーの電力コストは、高止まりしたまま進んでしまうでしょう。家庭の電気代も現在20円台ですから、先端のエネルギー組織は先を行ってますね。

 

石油を中心とした化石燃料の電力などが、今後どの様に推移していくか、素人の私には全く予想もつきませんが、再生エネルギーのコストダウン効果を活かしていく努力は、官民それぞれのレベルで進めていくべきだと思います。このテーマは、しばらくしたら大きく注目される様になるのではないでしょうか。

 

さて、電力を使う我々にとっては「更なる省エネ策」を取り入れる事が重要です。(大風呂敷を広げたマクロの話から、一気に中小企業のミクロの世界になるのが、このコラムのパターンで恐縮ですが「世の中の動きとのリンク」を目指してまして。。)

 

石の加工に必要なのは、刃物のついた加工機と水、そして電力ですから、コストとしても電力費が刃物代の次にくる重要な削減項目です。当グループ工場の関ヶ原イーテックがちょうど今年「電力費削減」のテーマを掲げて新たな取組みを始めた処です。その中で2019年、電力費削減の主役は何と言っても花崗岩原石用の「マルチワイヤーソー」です。

 

旧型の大鋸は、4日程(約100時間)フル回転で高さ1.5mの原石を切断していました。物理的に言うと、鉄製の刃物をぶつけて擦って摩耗させていく手法から、工業用ダイヤチップを埋め込んだ細いワイヤーで切削していくタイプに変わったので、その技術的な改善効果が大きいと思います。同じ原石を10時間程で切り上げることができます。純粋に切断時間の比較で言えば、1/10に減ったことになります。勿論、鉄板からダイヤに変わった刃物コストは上がりましたが、電力コストは激減です。

 

イーテックでは「待機電源」の再チェックも大きなテーマにしています。働き方改革の一端で、今年は工場の稼働時間帯も見直しました。元電源を落とす時間帯を伸ばすこと、そして、石を切らずに空気を切る電力、稼働しない時間帯で流れている電気はないか、徹底的に見直すとしています。

 

我々、本社や支店、営業所でも、できることはないか、Sカップ(職場改善活動)のテーマで取り上げれないか、今一度検討をお願いします。

 

 

2019年 6月