Column

社長の一石

2020. 9月

グローバル経済の見直し

中国経済がコロナ禍からいち早く脱して、勢いを盛り返している様に感じます。
ここ数年、米中戦争が報じられてきたので、この先どちらが主導権を握るのか
興味深い処ですが、今の情勢を見ると中国に有利なポイントが多い様に思えます。

 

世界全体が保護主義的になり、国益重視の経済政策に傾いてきている中で、中国の国家的な
産業支援の効果がかなり出ていると思います。かつて日本でも、通産省(今の経済産業省)が
諸産業を支援して高度成長時代を支えたきた歴史があるので「日本もお家芸」の筈です。。。

 

近年、韓国がサムソン等大企業を支援して世界の家電業界を席捲した記憶も新しいですが
今は何と行っても、中国共産党の指導による「人材開発」や「金融サポート」は、とても
強力で中国の産業界のバックボーンは強靭に見えます。

 

一方、米国企業は危機があった時は、効率性を重視して自社を守るためのリストラだけで、
人材開発や設備投資など、その場で踏ん張る取り組みは殆どしてこなかった様に思います。
ITを活用したGAFA等素晴らしい会社の多い米国ですが、ものづくりは別世界です。
ドイツでは、12年前のリーマンショック時にはワークシェアリングで、今回のコロナ禍では
休業補償などで雇用を守りながらV字回復をしようとする状況で、米国と対照的に見えます。

 

米国では、金融市場やIT技術の発展を重視して、アウトソーシングとかサプライチェーンで
最適調達、と言ったグローバリズムを推し進めてきたことが、根底にあったのだと思います。
その為「ものづくり現場の足腰を鍛える」事を避けてきてしまったのではないでしょうか。

 

「米国は、数十年前の新自由主義の台頭に伴い、国家的産業政策は捨て去り、資本・モノ
・労働力は政府の制限を受けずに、自由に行き来できる様にすべきとの考えで来た。」と
先日読んだ経済記事にありました。コロナ禍で自由に行き来ができなくなっている今日、
正に米国には不利な時代になっていると感じます。

 

Make America Great Again!は、錆びついた工業地帯(ラストベルト)復活のスローガンでもあり
製造業で働く方達の悲願でもありますが、弱った足腰を鍛えるのは一朝一夕にはいきません。
これは「ものづくり」が得意としてきた日本の製造業にとっても対岸の火事ではないのです。

 

製造業は、一度やめたら復活する為には相当なエネルギーを要するので、スポーツの世界
とよく似ています。現代はIT技術(最近はAI)を取り入れることも重要ですが、
「ともかく毎日鍛えておかないと競争に負けてしまう」事からは逃れられない運命です。

 

ここからいつもの様に自社の話で話が小さくなりますが(笑)、今迄の話と繋がります。

 

やはり、グループの製造業である関ヶ原イーテックへの仕事の確保が本当に大切なのです。
ミカゲ原石の板に切断するのは、大鋸からマルチワイヤーソーに切り替わりました。
丸鋸も更新してきましたし、今年は久しぶりに小端磨き機も導入します。
設備投資だけではなく、若い世代の人材開発にも着手し始めています。

 

コストダウンだけでなく、将来何を自社の個性・強みとしていくか関ヶ原イーテック内で
検討も始まりました。商社部門・建築部門の本社関ヶ原石材が、工場である
関ヶ原イーテックをサポートしていく姿勢は、とても重要な事なのです。

 

 

2020年9月