Column

社長の一石

2021. 10月

一人年収500万円で借金も500万円の国は、財政危機か?

今国政選挙中なので、今回は会社ではなく国の財政について考えてみたいと思います。
結構、分かり易いたとえができたと思うので、是非読んでみて下さい。

 

与党の首相選挙では候補者の方達から、思い切った予算を組んで国民の為の支出を
する、との意見が聞かれました。1年半以上のコロナ禍で経済的に困窮する方達が
大勢いるので、今回こそ「成長と分配の好循環」を本当に!実現して欲しいです。

 

ただ、財政出動しよう!となると必ず、財政問題(プライマリーバランス)はどうする?と
ブレーキが踏まれる報道があるのですが、これが私には不思議でなりません。

 

政府は国のいろいろな事業の予算組みのため、税収の不足を国債で賄っていますが
その発行額が膨らんで、1千兆円を超えてきたので財政危機だと言われています。
財務省のサイトを見ると確かに令和3年3月末一般国債の残高が「990兆円」でした。

 

一方で、近年日銀は【異次元の金融緩和】のためなのか沢山の円を発行し(払っ)て
金融機関から国債を買い戻していて、今や500兆円近くの国債が日銀にあります。
日銀のHPを見ると、令和2年12月末で「481兆円」の残高と書いてあります。

 

とすれば、日銀は政府の子会社ですから合算すれば(会社の連結決算と同じ様に)
相殺され、990-481=509となり、国の借金は「実質」≒500兆円と言えるはずです。
ちょうど日本の国民総生産(GDP)も500兆円くらいですから、ほぼ同額ですね。

 

ピンとこないかもしれないので【兆円】と言う単位を人口1億人として割り算すると
1兆÷1億=1万となるので【万円】と言う単位に変換して考えると分かり易いです。

 

つまり、年収500万円(GDP1人あたり)の人が、1000万円小切手・手形を切ったけど
回り回って500万円分が自分に返ってきたので、実質の借金は500万円である状態です。
これが財政危機だと大騒ぎする深刻な状況なのか?と私は考える訳です。

 

多分政府は律儀に、国債の全利息の半分近くを日銀に支払っているでしょう。
日銀に国債が戻ってきていることは、世論でもっと強調して欲しい点です。

 

「円」と言う通貨を発行しているのは日本政府の日銀だけで、「ユーロ」の様な
沢山の国の通貨とは違うので、国内の事情で判断・運用できる利点があるはずです。
100年に一度と言われる疫病蔓延。その立ち直りには【異次元の支出】をして経済を
回復させる事が可能な筈なので、思い切った政策転換を期待したいと思います。

 

因みに、米国には日本の様な「消費税」はありません。「小売売上税」と言う
各州の独自の判断で税率を決めているものがあり、0%の州も多いです。しかも
「小売商品」を買う時だけの課税なので、製造者や中間業者にはかかりません。

 

パン屋さんが売り値に消費税を反映できず、材料の仕入業者に払う消費税を
負担するだけで大変、と言ったニュースを耳にします。米国の例は参考に
できる内容ですが、これも報道される事が少なくてとても残念な情報です。

 

2021年10月