テラゾーってなんだろう?|今更聞けないテラゾーの基本
テラゾーってなんだろう?
最近いたるところで目にするようになった古いようで新しいインテリアデザインのトレンドとしてテラゾー(人造大理石)の存在があげられると思います。壁・床・什器からプロダクトに至るまで、復活を遂げたテラゾーとはどういった材料なのでしょうか。またその魅力はどこにあるのでしょうか?本記事では今更聞けないテラゾーの知識と最新のトレンドについてご紹介します。
1.テラゾーとは?
テラゾー(terrazzo)の語源と意味
テラゾー自体の発現は古く、500年以上前のイタリアで生まれたものと言われています。モザイクの大理石を床に敷き詰めるよりも効率的で安価であることが注目されて世界中に広まりを見せ、アールデコ様式の建築からミッドセンチュリーのモダンインテリアに至るまで、その洗練された独特のテクスチャーが採用されていきました。大理石や石灰石等の石材を砕いて砕石状にし、それを白系セメントに混ぜて固めた板に表面を研磨して仕上げた人造大理石の建材です。
テラゾーの製造方法、天然大理石との違い
天然大理石はまさにそのものを削り出し(掘り出し)たもので、人工的に生成されたものではありません。テラゾーも骨材としての成分は天然大理石ですが、砕いてセメントと混ぜて作られた「人工的な」石材です。その為、見た目も大きく異なっています。一方で加工の過程は天然大理石と同様のラインを流れ、その取付工法も類似しています。そのため、石材メーカーである弊社も創業当初より製造・加工ラインを持っていました。
2.テラゾーはどんなところで使用されている?
Photo by Jean-Philippe Delberghe on Unsplash
建材としてのテラゾーの役割
テラゾーが市場に多く出回ったのは、高度経済成長期の建築市場において台頭してきた仕上げ材でした。当時は海外から輸入される天然大理石は安定供給の仕組みや価格の低減には至っておらず、とても高価なものとして存在していました。一方でテラゾーは天然大理石よりも安価であったため公共の建物や商業ビル、駅舎に至るまで広く使用されていました。みなさまが多く目にする部分としてはトイレの甲板や隔て・ブース壁の部分や美術館・図書館などではないでしょうか。
~ 関ヶ原石材とテラゾーのお話 ~
弊社関ヶ原石材も実は創業当初の主力商材はテラゾーでした。1962年には新たに規格商品としてテラゾータイルの生産も開始し、最終的には日産2,500~3,000枚の生産を行っていました。テラゾータイルは地下鉄の駅舎などの大きな数量の物件が終了するとともに高級志向が強くなり、テラゾータイルの需要が激減し1991年にはテラゾータイルの加工が終了しました。
また、創業よりの主力として生産していたテラゾー自体も天然大理石の輸入価格が落ちてくるとその存在価値が薄くなり、1995年にテラゾーの生産ラインも加工終了しました。
その後は天然石材の専門加工工場として確たる地位を築いてきました。
3.テラゾーリバイバル
テラゾーの価値が再発見された背景
栄枯盛衰を経て今では国内でテラゾーを製造しているメーカーも少なくなってきた中で、テラゾーの魅力が改めて注目されてきました。テラゾーの復権は2018年より顕著な傾向として表れており、インテリアの大きなトレンドとなって現在に至っています。テラゾーがSNSへ登場する割合が増加したのも2018年からでした。(Pinterestのテラゾーに関する投稿が2018年に319%増加した、というデータもあります)
テラゾーは色と素材に無限の可能性があり、製品にならない端材や本来は破棄する材料を使用して新たな表情を作り出すことが出来る点はまさに持続可能な社会を目指す現代にとてもマッチした材料であるといえます。
従来のテラゾーに近いもの
Photo by Rebecca Orlov | Orlov Design Co on Unsplash
単色の種石と単色のセメントで製造されたテラゾーです。それだけを見ると従来からあるテラゾーとの違いはあまり無いように見えますが、一方でシンプルな見た目と質感が人気を呼んでおり、主張しすぎない素材としてインテリア空間に採用されるケースが増えています。
(写真:関ヶ原石材で製作していたテラゾー(マルモーネ)のサンプル 左から象牙・白珊瑚・山口更紗・美濃黒)
実はいまでも一部在庫があり、実際に建築工事に使用することも可能です。
ごく最近は写真左の「象牙」をご採用いただき実際に工場で切断・加工をしていました。
カラフルテラゾー
従来のテラゾーでも何種類かの種石を選定したものはありましたが、より種石の色が強調された製品も出てきています。色の決め手となる骨材にカラーガラスを使用したり、タイルを使用するもの等様々な表情の製品が登場しています。また、骨材を大きく割って石の柄と表情が大きく出るような製品も登場してきています。ここ数年で特にインテリアの空間で採用されることが増えてきており、みなさまの目に触れる機会も増えてきているのではないでしょうか。
新しいテラゾーの取り扱い石種
ST7907 ムラーノ
スラブサイズ 2500×1400×T30mm
マット仕上げ
カラフルな種石と暖かい白ベースが優しい。
少し空間に遊びを入れたい時などに活躍するテラゾーです。
ST7906 グリジオベナート
スラブサイズ 2500×1400×T30mm
マット仕上げ
細かい種石の中に黒がアクセントとして締める色合い。
ST7906 グリジオベナートの施工事例
ST7902 リド
スラブサイズ 2500×1400×T30mm
マット仕上げ
白ベースに白の種石。
さわやかながら、種石の白のコントラストで様々な表情を見せる。
ST7902 リドの施工事例
ST7908 アグロチェッポ
スラブサイズ 2500×1400×T30mm
マット仕上げ
イタリアで古くから使用されているグレーチェッポの天然石を種石として使用したテラゾー。
天然石の質感が最大限再現されかつ、落ち着いた色味のグレーが空間に馴染みます。
ST7908 アグロチェッポの施工事例
ST7900 フィオーレグリジオ
スラブサイズ 2500×1200×T30mm
マット仕上げ
グレーベースに細かな白種石を入れ込んだテラゾー。
使いやすく、柔らかい雰囲気でお使いいただけます。
ST7900 フィオーレグリジオの施工事例
新しい取り扱いテラゾーは専用のパンフレットをご用意しています。
パンフレットご希望の方はこちらのお問合せからご請求ください。
すべてスラブ(大きな板)でご用意しております。
お好きなサイズへのカット、小口加工、穴あけなどをオーダーで承ります。
加工のご相談やサンプルのご依頼も受けたわ待っております。
テラゾーのような天然石
最近のテラゾー人気をうけ、テラゾー調の天然石をピックアップしてみたいと思います。インテリアの素材として「テラゾー」を使うことはトレンドですが、「テラゾー調の天然石」を使ってみるのも面白いかもしれません。
テラゾー調の大理石
A069
CEPPO LIGHT チェッポライト
テラゾー調の大理石
A059
OPERA D’ARTE オペラディアルテ
テラゾー調の大理石
A058
OCEAN STORM オーシャンストーム
4.テラゾーの仕様と施工
テラゾーの仕様
テラゾーは天然大理石と同じく、大きな板状になっており、任意のサイズ・寸法で切断が可能です。表面仕上や切断の加工に使用する機械は、天然大理石を加工する機械と同様ですので、ある意味天然大理石で加工できることはテラゾーでも加工可能(例外はあります)ということです。
加工の流れについてはこちらの記事を参考にしてください。もちろん規格サイズで製造されたタイル状の製品(300角や400角など)も流通しており、オーダーサイズでなくても使用することは可能です。もちろん大判で使用したい場合は板から大きく寸法を取って壁に貼るということも可能です。
基本な柄は「標準色」があり、そこから色と柄を選ぶのですが、テラゾーは中に入れる骨材(種石ともいいます)の「大きさ」や「分量」「色の組み合わせ」で表情が変わります。オーダーで製作することで希望の色目や柄を出すことも可能なので、デザインにこだわることが可能です。(オーダーで柄を製作する場合は数量ロットなどの諸条件がございます)
テラゾーの施工方法
テラゾーを建築に使用する場合の基本は天然大理石と同じ考え方となります。
使用されるシーンで多いのは床面への採用ですが、今後は壁面への採用も増えてくるのではないか、と考えています。内装の壁に使用する場合は一般的にボンドを使用しての圧着工法が広く知られていますが、特に大判での施工や天井高が3,000mmを超えるような部位への施工の場合はボンドだけでの施工は危険です。きちんと壁の構造やテラゾーの重量、厚みを検討し適切な施工方法で貼ることで安全に御使用いただけます。施工をしたいがどのように貼ればよいか迷われている場合はお気軽にご相談ください。テラゾーと石材施工のノウハウと実績を踏まえて施工方法のご提案をいたします。
5.テラゾーの購入方法と価格
テラゾーの価格はどのように決まるのか~規格サイズの場合
タイル状になったテラゾーであれば、WEBショップなどでも購入が可能です。主に流通しているサイズは400角であり、次いで300角となります。厚みも10mm~13mmのものが多い印象です。この場合はケース売り(5枚/ケース)が多く、必要な数量から枚数を産出し、購入する形となります。少量であればアウトレット品なども流通しており、意外な掘り出し物が見つかるかもしれません。
テラゾーの価格はどのように決まるのか~オーダーサイズの場合
オーダーサイズで使用を検討する場合の価格は見積が必要になります。もちろん「どの種類を選ぶか」によって価格は変わるのですが「どのくらいの数量でどんな大きさにするのか」という情報が必要になってきます。特に影響があるのは「歩留り」という概念で、「一枚の大きな板から製品になるパーセントはどのくらいか」が価格に反映されてきます。
例えば
H1,500×W2,800の板から600角の製品を切り出した場合
8枚の製品を製作可能です。この場合の歩留りは68%となります。
8枚製作した残りの32%は製品にならず廃棄されてしまうので、その32%分の価格が製品価格に反映される、という仕組みです。
詳しくは製品ごとに価格の算出をいたしますので、色や柄のご希望とともにお問合せいただきましたら見積金額をご提示致します。
番外編
人工的に製造される新たな「石材」
テラゾーが再注目されている現状の中、新たな表情の石材が登場してきています。
プレシャスストーン
レジン系の樹脂の中に瑪瑙(メノウ)の原石を混ぜて固めスライスしたものや、木化石という木が化石化したものを同じく寄り集めて固めスライスしたものなども登場してきています。セメントに混ぜていないので、厳密にはテラゾーではないのですが、新しいテラゾーという位置づけ(無理やり)になるかもしれません。弊社でも在庫はしておりませんが取り扱いはございますのでご興味がある場合は是非お問合せください。
まとめ
テラゾーについて、理解が深まったでしょうか。
一度市場から消えかけていたカテゴリーが再興してくるというのはとてもおもしろいな、と感じています。時代は巡る、というわけではないですが更に進化をしたテラゾーが建築仕上げ材の潮流になる日も近い・・かもしれません。
もちろん天然大理石にはそれ以上のあふれる魅力とストーリーが詰まっていますので、大理石に関する記事も併せて読んでいただければと思います!