トラバーチンってどんな模様?天然石の板で模様を見てみよう
トラバーチンとは?
トラバーチン(Travertine)とは、天然で採掘される無機質石灰岩の一種で、石材業界の大きな分類の中では大理石にカテゴライズされます。様々な大理石がある中で、「トラバーチン」はその特徴をもつ様々な石種に名がつけられる石種です。
トラバーチンの柄と模様の特徴
トラバーチンの特徴は、
・平行に堆積した縞が入り
・小さな穴(細孔)がランダムに入る 石です。
(写真:代表的なトラバーチンの模様)
この模様の生成過程は、石灰石の成分(CaCO3)が気の遠くなるような年月の堆積によって岩石化したものです。細かな孔は岩石中の水分(熱水)の通り道であり、地中深くに存在していた時にはこの小さな孔を熱水が通り抜けていました。岩石のレベルで見たときのこの小さな孔が、地球規模にスケールアップすると、鍾乳洞となります。
様々な地域で算出される同柄の石があり、古来のヨーロッパ建築から最新のモダン建築まで幅広く愛され、使用されています。
今回はよく知られているトラバーチンから、最新のトラバーチンまで弊社で取り扱っている石種をご紹介いたします。
最も有名なトラバーチン
トラベルチーノロマーノ(TRAVERTINO ROMANO)はイタリア中部、ラツィオ州のティボリで切り出されています。もっとも有名なトラバーチンであり、イタリアを始めヨーロッパにはトラベルチーノロマーノを使用した建築物がたくさんあります。ローマのコロッセオやトレビの泉などは、イタリアに旅行に行かれたことのある方はご覧になったこともあるのではないでしょうか。もちろん、古代ローマ時代だけでなく、日本においてもビル建築等に使用され、現在でも大きな原石ブロックや大きな板材も供給されています
(写真:イタリアにあるトレビの泉) Photo by Michele Bitetto on Unsplash
(写真:フランスにあるサクレ・クール寺院) Photo by Valentin Lacoste on Unsplash
濃淡のコントラスト
トラバーチンクラシック(TRRVERTINE CLASSIC)はトルコから産出するトラバーチンです。上記のトラベルチーノロマーノと比較すると歴史は浅く、2010年代にはいってから日本に登場した石種となります。安定した色目と大きなブロックがとれる信頼性から、多くの建築物に採用されており、虎ノ門ヒルズの床や赤坂インターシティAIRの壁などにも使用されています。トラベルチーノロマーノと比べると濃淡がはっきりと出ており、全体の色目も濃くなっています。
(写真:虎ノ門ヒルズに使用している施工例。床の大きな面積に貼られています。)
(写真:赤坂インターシティAIRの内部壁に使用している施工例。)
艶やかな赤のトラバーチン
レッドトラバーチン(RED TRAVERTINE)はイランで産出する赤いトラバーチンです。
一般的にベージュや茶のイメージが強いトラバーチンですが、こんなに鮮やかな赤を表現したものも存在します。堆積層で筋模様がはいることが特徴ですが、地色と筋色のコントラストが絶妙で、単色の赤ではないところがとても魅力的です。
(写真:レッドトラバーチンの原石を切り出している採石場の風景)
レッドトラバーチンの採掘される山の様子。引きで見ると赤をそこまで感じませんが、
ブロックに切り出したものは赤く見えるのがわかります。
岩肌に近づいてみると、水平に模様が走っているのが見て取れます。岩肌に水をかけると色がよくわかるので、石を選定する際などにはよく水をかけながら色を確認したりします。
(写真:レッドトラバーチンの施工例)
エレベーターホールの壁に見事に堆積層が連装になっています。レッドトラバーチンはその色の濃さから、模様をつなげること(墨出)が重要になってきます。
濃いグレーのトラバーチン
プラタグレートラバーチン(PLATAGREY TRAVERTINE)はトルコから産出されるグレーのトラバーチンです。グレー色はトラバーチンに限らず人気が高く、空間に採用しやすい石種となっています。グレーの良い色は産出量が少なく、入手が難しいですが、弊社では大きな原石のブロックで調達をしており、柄や色をまとめやすくなっています。
(写真:プラタグレートラバーチンの採掘場、山の頂上の広大な場所での採掘を行っています)
広い採掘場の中でも弊社が調達すべき良い色の原石が出てくることは稀です。
(写真:プラタグレートラバーチンの原石ブロック)
良質なブロックが産出されると、大きな塊ごとトルコから調達してきます。
トラバーチンにお勧めの表面仕上
他の大理石と同様に鏡面まで磨き上げる「本磨き」を施すことで、その石の持つ本来の色(地色と呼んでいます)が出てきます。艶の乗った表面は映り込みするほどに磨かれます。最近はマットな質感が人気であるため、「水磨き」(表面はフラットで、最終の磨き上げ・バフの工程を行わない仕上げ)での採用も多くなってきています。マットにすることで本来の地色までは表現できないですが、柔らかい印象を与えることができ、磨き上げたときに一方で感じるギラツキがなくなります。
また、仕上げではないですが、トラバーチンには「目込み」という特徴的な処理が存在します。
トラバーチンの目込みとは
トラバーチンはその模様の特性として小さな穴がランダムに入ります。そのため、経年でご使用いただいている間にその穴にホコリ等がたまって黒ずんでしまったり、物が接触する場所では穴が広がってしまったりすることがあります。古来よりトラバーチンを含めた石を身近に使用してきたヨーロッパや欧米などでは、天然石の特徴、その経年変化も風合いとしてとらえるのですが、日本では特に汚れが目立つことを嫌う傾向があります。そのため、もともと空いている小さな穴を埋めることを「目込みをする」といいます。
基本的にはセメント材を使用して穴を埋めますが、樹脂を使用して埋める場合もあります。
トラバーチンの特徴を生かしてご採用いただくことができればよいですが、目込みはお客様のご要望に応じて追加でおこなっておりますのでトラバーチンの使用をご検討されている場合は是非ご相談ください。
トラバーチンのタイルと価格
トラバーチンについて様々な石種をご紹介しましたが、一部の商品はタイル状になった規格品も売り出されています。
サイズ:400mm×400mm×厚み13mm
穴あき・穴埋めのどちらのタイプが良いかも選定できます。
価格:1,808円/枚(税込)
※送料は枚数と送付先により異なるため、見積となります。
サイズ:3,000mm×1,500mm×厚み6mm
価格:85,500円/枚(税抜)
※送料は枚数と送付先により異なるため、見積となります。
天然石ではないですが、トラバーチン調の大判タイルです。サイズが3mを超える大きな板の為、使う場所を選びますが、天井まで一枚で仕上げることも可能な製品で、近年特に注目を集めています。
(写真:トラバーチンナボナの海外施工例)
まとめ
トラバーチンの模様がどのようなものかお分かりいただけたでしょうか。
クラシカルなトラバーチンは歴史とストーリーを感じられるものとして依然採掘されており、新しいトラバーチンは新たなトレンドになるように世界中で開発されています。
弊社も新たな石を探してアンテナをはっていますので、随時発信をしていきます。
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