人工大理石?クォーツストーン?天然石?キッチン天板は結局何を選べば良いの?
キッチンの天板素材を選ぶときに何を選ぶかはとても悩むポイントだと思います。私たちは天然石を長く取り扱っており、集合住宅から一般戸建てまで多くのキッチン天板を供給してきました。現在は天然石以外にもさまざまな素材を扱っている中で、それぞれの特徴などをお伝えしたいと思います。
天板に使用される主な種類
主にキッチンの天板に使用される素材としては以下のものがあげられます。
天然石(主に御影石)
人工大理石(人造大理石)
クォーツストーン
このほかにもタイルやステンレスなどがありますが、弊社が言及できるこの3つについて比較していきます。
天然石・人工大理石・人造大理石・クォーツストーンのメリット・デメリット
まずはそれぞれの材質のメリット・デメリットについて表にまとめてみました。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、一つずつ素材を見ていこうと思います。
素材その1:天然石(御影石)
マグマが、地球の地下深くで固まってできた石です。硬いため耐久性・耐水性に優れており、天然石の中でも特にキッチンカウンターに適した素材です。磨くと艶が出て、より美しい表情に変化します。結晶の重なりと奥行きのある表情は天然石だからこその質感であり、まさに世界に一つだけのキッチンを作り上げることができます。天然素材の為、人工的に作られた素材には及ばない性能はありますが、それ以上の魅力を感じていただける質感があります。吸水や防汚については石材専用の表面コーティングを施すことで、より美観を保つようにすることも可能となっています。
吸水や防汚については石材専用の表面コーティングを施すことで、より美観を保つようにすることも可能となっています。
大理石をキッチン天板にお勧めしない理由
大理石をキッチンに使用したい、というご要望を良くいただきますが、石材の専門会社としてはお勧めしておりません。大理石は御影石よりも吸水性が高く、またその成分自体が石灰を主としているため、経年使用での艶ボケ、劣化が起こります。石の表情が変化していくことを是としてご使用いただくのであれば問題ないのですが、そうでなければ大理石ではなく、御影石の中からお選びいただくことをお勧めしております。
素材その2: クォーツストーン(エンジニアドストーン)
昨今キッチントップなどのラインナップとして耳にすることが多い「クォーツストーン」は、
90%以上の天然石英(クォーツ)を砕石し、色付けをした後、ポリマー樹脂で生成されたものです。天然石英(クォーツ)を主成分としているのが特徴で、後出の人工大理石よりもより天然素材に近く、色柄のバリエーションも豊富です。
吸水率が非常に低いため、水や調理の際に使用する醤油や油などの染み込みに強いことや、硬度が高いため傷がつきにくく衝撃に強いなど、天板としてあったらよいと思われる性能を有している優れものです。天然石英を使用している点では人造大理石のカテゴリに入るものでもあります。メンテナンス性にも優れているクォーツストーンはキッチンやテーブルトップの分野でこれからさらに使用されるシーンが増えてくると予想されています。
クォーツとは
クォーツは石英であり、地殻で生成される鉱物の一種です。二酸化ケイ素(Sio2)が結晶化することででき、結晶は六角柱状になることが多い鉱物です。モース硬度が7と非常に硬い(ダイヤモンドのモース硬度は10)ことが特徴です。結晶の見た目の美しさから古くから装飾品や調度品などに使用されることも多く、現在でもパワーストーンやアクセサリーとして流通しています。
素材その3:人工大理石
人工大理石とは樹脂などを主成分として成型される加工品で、大理石の代用品として登場しました。人口素材の為、大理石成分を含んでおらず、色柄や模様を人工的に作り上げた工業製品です。
一般的な人工大理石の種類は、「アクリル系」「不飽和ポリエステル系」の2種類に分類されます。アクリル系は一般にポリエステル系よりも耐候性や耐衝撃性に優れているといわれており、また加工工程の違いからデザイン反映度が高いということも特徴です。
人工大理石と人造大理石の違い
人造大理石は一般にテラゾーといわれる素材で、天然大理石を粉砕したものを骨材としてセメントや樹脂で固めた半人口の素材です。まだ天然大理石が大変高価であった時代に、天然大理石の代替として登場し、広く建築資材として流通していました。最近では高度なプレス技術やカラーバリエーションをもったリバイバル資材として再復興をしています。
テラゾーについての詳しい詳細は「テラゾーってなんだろう?|今更聞けないテラゾーの基本」をご覧ください。
人工大理石は「樹脂を主成分とした人工素材」、人造大理石は「天然石を柄に使用した半人工素材」といったところでしょうか。
なにを基準に選ぶか
ご使用する場面やライフスタイルをよく吟味したうえで何を優先するかでお選びいただくのが良いと思います。選定する際の基準を決めて、あとは予算とのバランスでお選びいただくことになると思います。
見栄え(デザイン)
せっかく選ぶキッチン、自分の好みにあったもので空間を作りたいという場合は、色柄や小口のディティールなどを基準にお選びいただくのが良いかと思います。日頃のお手入れは念入りにしていただくことがベストです。
水を吸収しにくい
キッチンは毎日使用する場所です。水はもちろん食材や油分・酸などが付着することになります。水と一緒に油分などが基材に染み込んでしまうと、水分を飛ばすだけではシミが消えず、美観が損なわれます。耐水性を重視して選ぶという基準も必要です。
熱に強い
キッチンはコンロで熱したフライパンや鍋を扱います。不燃材であることはもちろんですが、熱に強いことも重要なポイントです。
衝撃に強い
物を置いたり、作業をすることが多いキッチンでは、鋭利な刃が当たることで傷がついたり、重たいものを載せたときに割れることがないことが重要です。ただし、ワークトップ自体が固すぎると、ガラス製の食器などを置く際に食器自体が衝撃で割れるといったこともあるので、各素材について確認をしておくほうが良いでしょう。
お手入れの容易さ
簡単にメンテナンスができることを重視してお選びいただくことも、長期利用をする上でのポイントとなります。油分が付着しにくいものや、水垢が付きにくいものなど、お手入れに時間をかけずにきれいに保つことができると良いですね。
やっぱり価格が大事
見た目や機能を盛り込むと、高額になってしまうことが予想されます。キッチンは天板だけではなくシンクやコンロ含め全体で予算を組まれると思います。見栄えと機能のバランスを考慮して全体をご検討ください。