芋目地・馬目地とは? 石の貼り方パターン(目地割)をご紹介
みなさんは「芋目地」や「馬目地」という言葉を知っていますか?
そもそも「目地」ってなに?という方も多いかと思いますが、実は両方とも建築用語になります。
「建築」と「芋」「馬」というワードにはなんの関連も感じられず、個人的におもしろい言葉だなと思っているのですが、意味を想像するのはなかなか難しいですよね。
今回は芋目地や馬目地とはどういうものなのかご紹介したいと思います。
目次
1.目地・目地割とは?
2.目地割の種類
①芋目地
②馬目地
③ネムリ目地
3.いろいろな貼り方紹介
4.まとめ
1.目地・目地割とは?
街を歩いていると、石でできた壁や床をよく見かけるかと思います。
その壁や床はよく見ると一枚の石がべたっと貼ってあるのではなく、何枚もの石が敷き詰められているのではないでしょうか。
目地とは、少し間隔を空けた部材間の継ぎ目のことを言います。下の写真で言うと、敷き詰められた石と石の間の隙間部分のことですね。
一部例外もありますが、基本的には石を壁や床に使用するときは、目地が必要になります。目地があることによって、石1枚1枚の寸法誤差をわかりにくくしたり、地震等の外部からの衝撃を逃がしたりすることができます。
そしてその目地をどう通すか、石をどのような配置にするのか考えておくことを目地割りと言います。縦横きれいにそろえて並べたり、サイズがまちまちな石でパターンをつくって並べたりと、同じ石でも並べ方によって印象が大きく変わるため、目地割りはとても重要な作業になります。
実は冒頭で紹介した「芋目地」「馬目地」は目地割り方法のひとつです。次の章では芋目地と馬目地、そしてさらに基本的な目地割りの種類をご紹介します。
2.目地割の種類
①芋目地
芋目地(いも目地)とは、縦横一直線に目地が通っていて、まっすぐ石を並べた貼り方のことです。芋貼り、通し目地などとも呼ばれます。
芋目地と呼ばれる由来は、規則正しく伸びるとされる芋の根と似ているからだそうです。
芋目地は一番オーソドックスな目地割りで、街中でもよく見かけます。
芋目地だと模様をつなげることができるので、特に柄に流れのある石をきれいに見せることができます。
②馬目地
馬目地(うま目地)とは、縦か横方向に半分ずつずらして貼る貼り方のことです。馬貼り、破れ目地などとも呼ばれています。
馬の足跡のように交互になっているところから馬目地となり、馬踏み目地とも呼ばれるそうです。
馬目地だと落ち着いた柄の石や平目に切った石でもアクセントをつけることができ、ただ石を並べるよりも印象的な空間にすることができます。
③眠り目地
眠り目地(ネムリ目地)とは、石どうしの隙間を開けずにぴったりとくっつけた貼り方のことです。
目地が目立たないので、柄の流れをつなげたり、写真のように模様を展開したりすると、1枚の石でできているかのような非常に美しい仕上がりになります。
しかし、冒頭で挙げたように目地には寸法誤差をわかりにくくしたり、衝撃を逃がしたりする役割があるので、眠り目地で目地をなくすことで、様々な問題が生じます。
弊社では、そのような様々な条件をクリアした上で、さらに大理石を壁に使用する時のみ、眠り目地での対応をしております。
3.いろいろな貼り方紹介
ここまで基本的な目地割をご紹介してきましたが、さらに個性的な目地割・デザイン例をご紹介したいと思います。
まずはこちらの柱になります。目地割としてはただ石を縦に並べた柱ですが、よく見ると下から5段目で石の色が変わっていることがわかります。
見た目は違いますが、実はこの柱の石は全て同じ石種です。この石種は錆石と呼ばれる石で、バーナーで火を当てることで錆の部分が酸化し、赤くなります。5段目以降の石をバーナーの仕上げに変えることで、見た目に変化を付けていたのですね。
同じ石種の仕上げ違いを使用することで、統一感を出しつつもデザイン性の高い柱になっています。
次はこちらの壁になります。濃い赤茶色の石壁に、ポイントでグレーの細長い石が入っています。
この壁の石も実は全て同じ石種になります。色の濃い部分は本磨きという仕上げで、細長いボーダー部分はJP仕上げになっています。石本来の色と艶が出るまでつるつるに磨く本磨と、バーナーで火を当て表面を粗くするJP仕上げを上手く使い分けています。
またボーダーをまっすぐ通すのではなく、一部段をずらすという工夫も加えることで、より個性的な壁になっています。
最後はこちらの壁です。
緑色の石に赤い石がラインで入っています。違う石種を合わせることでデザイン性の高い壁になっていますね。
さらに赤い石のラインの交差部分は仕上げが変わっており、とても凝ったデザインになっています。
4.まとめ
ここまで芋目地・馬目地を中心に様々な目地割を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
目地とはどういうものなのかから始まり、目地割を工夫したり、仕上げを変えたり、違う石種を組み合わせたりすることによって、デザインの幅が広がることまでわかっていただけたかと思います。
街中にも様々な目地割りの壁や床がありますので、ぜひ注目してみてください。